ヘッドホンシステム評価基準の一例(前編)
2022-10-09
いまいちいいタイトルが思いつかないのですが、要は私がヘッドホンシステムを評価する際、どういうところが気になるのかと言う話です。
オーディオ関係のフォロワーさん宅に伺ったりその他色々お話をお聞きしていると、私はどうも人よりも色々な点、それも細かいところに関してかなり気にしてしまう傾向があるようでした。ですので、このブログでヘッドホンの各論みたいなのを扱う時に、あらかじめどういうところが気になるか説明しておいた方が後々便利かな、と思いました。
これを明らかにすることによって、私がどういうところを重視していて、どういうところをあまり気にしないか(あるいはわかっていないか)、というところを、一つのメモとして役に立つ形で残すことを目指します。
基本的には評価をするときの話で、特に試聴時などは、以下の点をきちんと考えながら聴くことが多いです。一方で、自宅での純粋な音楽鑑賞時には、試聴時ほどきちんと聞いているわけではありませんが、それぞれの観点を意識することで、より音楽を楽しめるのではないかと思っています。
記事の性質上、非常に感覚的な話が続くためピンとこない方もいらっしゃると思いますが、「こういう観点もあるのね」と思って読んでいただけると幸いです。また、その中でなにか気づきなどがあれば嬉しいです。
まず第一に、ヘッドホンに限りませんが、オーディオシステムを聴く際には、科学的なあれこれはありますが、まず何より自分の感覚を優先します。 私は仕事でオーディオをやっているわけではなく趣味でやっていることもあって、感覚の根拠にあまり興味がなく、参考程度といった感じです。
以降は、文章の構成上、順序立てて話すことにはなりますが、それが優先度になっているというわけではありません。内容の中でも、聴いていて特に気になったところがピックアップされて、そのままヘッドホン等の感想になる、といった感じです。つまり、これら全てを常に思っているわけではなくて、図鑑のように網羅的に集めただけだということです。しかし、ヘッドホンの感想を書いているうちに、いつも気になっているなあと感じる項目は存在します。それが私にとっての優先度になるのかもしれません。
情報量
音楽が再生されている音場内を表すあらゆる情報の量、と言えばいいんでしょうか。細かく見ると、描写の細かさや密度などの概念が感じられます。下記で出てくる質感や連続性、空気感などの概念もこの辺りにたどり着いたりします。ここが上がるとリアリティがグッと増しますし、機材の値段が如実に現れる項目でもあります。
私はこの情報量のジャンキーなので、どこまで求めて行ってしまいがちです。ただ情報を出そうとして整理しないと、ノイズっぽさというか雑味が発生して品位などとのバランスが崩れてしまいがちです。そういうところをうまくまとめつつも膨大な情報量を出してくれる機材が欲しいです。
音色
オーディオのみならず、自然界の音を聞いた時には、その音に対してなんらかの色味をなんとなく感じることがあります。この色は、透明をベースにしつつも楽器によって様々で、物によっては黄色かったり(暖色系)白〜青色だったり(寒色系)、はたまた灰色だったりと感じたりします。また、色と同じで明るさの概念もあります。
これが音像中でムラなく安定して出ていること、連続を持ってグラデーションしていることで、また、楽器ごとにそれぞれの色味が出ていること(自在感)で、プレイバックデバイスで発生しやすい不自然感がなくなり、より楽曲・演奏の世界観などを楽しめるのではないかと思っています。
書いていて、文面はなんとなく共感覚に似ているなとも思ったのですが、感じ方としてはちょっと違うかな、と感じています。
質感・触感
音像の中を触ったらどのように感じるのかを目で見ている、というイメージが近いでしょうか。ツルツルなのかザラザラなのかということだけではなく、ヌルヌルだったりサラサラだったりなどもありますし、ツルツルは表面を研磨した何かなのか、それとも糸で織った布なのか、あるいはまた別の何かなのか、など、様々な質感があるかなと思っています。ウェットかドライかなども、大まかに言えばここに入りそう。
正直私には自然界の音ってそんなに滑らかには聞こえおらず、若干ザラザラ寄りのサラサラぐらいにしか感じられていません。ですので、あまりツルツルした感じだと不自然だな、と感じますし、少し耳に突っ張りを感じる場合もあります。
質量感
音を聞いた時に、これは重そうだとか、これは軽そうだ、といったことを感じるということです。軽すぎると音全体が(定位の滲みではなく)ふわふわした、下手するとぷかぷか浮いた感じに聞こえます。今のところは、逆に重すぎる機材にはあまり出会ったことがありません。これは、音の深みやエネルギー感などとも関係するのかもしれないな、と思っており、音の押し引きに適切な根拠を与える要素の一つであるイメージがあります。
質量感は音像に対してであったり、ある帯域に対して感じたりすることもあります。
厚み
何がそれを構成するのはわかりませんが、意識することはあります。(微妙な奥行方向への音像の広がり、というと違和感があるような。。。)ものによっては全ての音が OA 用紙みたいにペラペラになってしまう機材もあり、それは耳にやはり引っ掛かりを感じてしまう原因になっています。また、逆に厚ぼったいと感じることもあり、それはそれで音のコアになる部分がボケてしまうように感じることもあります。
レンジ
高い音も低い音も先までちゃんと出ているか、という話です。例えば、低域の沈み込みとかというのは、低域が下まで出ていることも一つの要因だと考えられ、それは体で音楽を感じとりやすくなるという点でいいなと思います。ただ私は、明らかにおかしい音が出てない限りはわからないです。思うのは、レンジが出ていないとどこかで音の伸びというか、連続性が断絶して、突っ張ったりするような印象を覚えます。
このセクションでのレンジとは、倍音の領域も含めており、この領域がきちんと出ていることで、硬さなど、楽器らしさが増すと考えています。
速さ
音が出る、引く時のスピードですね。ここは情報量が増えると遅く聞こえることもあるのですが、ある一線を越えると、自然界の音のようにすでにそこにあったかのように聞こえることがあり、情報量絵を保ったままそれが実現することが理想です。あとは、その後の過程がそれぞれの楽器などに沿った曲線で減衰していって、正しい時間で音が引くという感じです。
もたついていると、聴いていて前のめりになったり、リズム的にずっこけたりします。私は昔、音楽ゲームをやっていたこともあり、楽曲のリズム感は結構大事にしているつもりです。とはいえ、リズム感というのは別にクラブ音楽だけのものではなく、様々な音楽のベースだと思っていて、この緩急や精密さは音楽への没入感を結構左右するのでは、と考えています。
まだ音そのものに対してしか書けてなくて、これからそれをヘッドホン空間にどう展開していくか、という話が続くのですが、もう書くのが疲れたので次回にします。流石に次回はすぐ書くと思います。100 ペソぐらい賭けます。嘘です。