2022-12-27
このヘッドホンは、この後も試聴を繰り返して感想が変わってきています(2024年5月現在)ので、そのうちまとめた記事でも書ければいいかな、と思っています。ただ、いずれにしてもこのヘッドホンは練りが甘く、価格に見合うようなものではない、というのが個人的な結論です。
YAMAHA の YH-5000SE というヘッドホン、話題になっていますね。ミーハーなので、話題に乗りたい一心で何度か聴いてみました。そしたら、似たような感想があまり見つけられなかったので、こういう聞こえ方もあったよ、という意味でメモしておきます。環境は、フジヤエービックの MSB セット(Soundgenic + MSB Discrete DAC Plus + MSB Premier HPA)と、e イヤホンの ADI-2 DAC(AK 版)です。特に前者で聴いた時の感想がメインになります。
ただし、一応店員さんに聴いたところある程度エージングは終わっているのでは、ということでしたが、箱だしから 1 週間〜程度だということだったので、その辺りは差っ引いていただけると助かります。また、イヤーパッドは皮のやつです。
結論から言うと、私には合いませんでした。個人的には、買い換えるほどではありませんが結構楽しみにしていたので、残念です。
このヘッドホンの基本的な音の構成は、ミスト、あるいは点描のようなイメージが一番合うと思いました。点がより集まって一つの音像を作るようなイメージに感じます。エージングで点同士が滑らかに接続する方向へ近づいていくようですが、1 週間〜程度では、全てが滑らかになるほどではないようです。
このような音の成り立ちだからか、質感が全てブツブツで、不自然です。MSB の暖気運転によって点密度が増してグッと増すことで滑らかさが出てきてマシになるのですが、それでも細かいブツブツのテクスチャが載ることがあります。ノイズがこのようなテクスチャを作っているのかとも思ったのですが、ノイズの影響もありつつ、そもそもの音の成り立ちから違うような印象を受けます。流石にこれが全部ノイズだったら、敏感すぎて今のヘッドホンマニアのほとんどが扱いきれないと思います。
また、音に芯が感じられません。全体的にのぺっとしていて、立体感・質量感などの概念もあまり感じられません。音色も思ったように動きません。硬直して歯抜けに飛ぶ、という言葉がふさわしいと思います。ここがかなりもどかしく感じますし、たまに眩しいというか、突っ張ることがあるようです。これらの影響か、音がかなり 2 値的に感じられます。
また、帯域バランスとして高域がややつよく、ガサつきを感じます。それがなんとなく音の速さを演出しているように見えて、実は普通なのではないかと思っています。(なお、e イヤの ADI-2 DAC で聴くと、低域も、うまくコントロールが効かないのかぼやっと出てくるようですが、MSB だとそうはならないですね。)もしかしたら、音自体がかなりドライで余裕がないので、そこと相まってキツさが出ているのかもしれないです。
と、とりあえずこんな感じです。いいたいことは全部言えたかな……。エージングがもっと進めばこんなことはなくなるのか、あるいは私の耳がおかしくなったのか、それとも似たような感想の人が現れるのか……。結論はそのうち出るでしょうから、楽しみに待つことにします。