Dan Clerk Audio E3 試聴超短評
今回は、Dan Clerk Audioから発売されているE3を試聴した際のインプレッションを、簡単にお伝えしようと思います。このヘッドホンは、当ブログの休止中にStealthの廉価版として登場しましたが、興味はあったので、試聴させていただいていました。本稿は、その時のメモを元に構成したものです。
試聴は、いつもお世話になっているフジヤエービックさんの環境で行いました。構成はいつもの通りで、NASからBoulder 812にUSB入力され、812内蔵HPAからアンバランスで出力しています。今回はアンバランス出力であったこと、812のHPAであったことから、駆動力に多少不足があると思われます。その点は、多少さっ引いてお読みいただけると幸いです。
総合的に見ると、Stealthの下位モデルとして順当な特長を備えている、それなりなモデルだと思いました。密閉型なのによくできてるなぁ、と思わせるのも、Stealth譲りです。また、812の駆動力でも、ある程度動かせていそうな音でした。
まず扱える情報量は、30万円台であることを考えると、若干気になるところもありつつ……といったところでしょうか。空気感の描写の点では、少々不足を感じるところではありました。キャラクターがStealthと同じで、ひけらかすような情報の出し方ではないので、さらにわかりづらいというのはあるかもしれません。しかし、30万円台のほかのヘッドホンを見渡してみると、特に質感の面では、この機種より出てこないものは結構ありそうです。例えば、D8000は、質感のようなマイクロ領域に近い部分を割とバッサリ落としている印象でしたが、E3では、粗いながらもほんのり効いてくるイメージで出てきています。
音色は若干ドライ気味、寒色系寄りでした。それもあって、全体的にやや冷静なイメージを受けます。ここのキャラクターはStealth譲りですかね。ただし、時間がたつにつれて、少しずつ白みが増してくるのが気になりました。ドライ寄りの音であることや、後で述べる帯域の狭さが出てきてしまっているのかもなぁ、と推測しています。
音像の定位に関しては、Stealth譲りのレンズを通したような配置で、真ん中の薄さも多少感じるものの、まぁこんなもんかなぁといった感じです。
今回の試聴で感じた一番の問題点は、帯域バランスとエネルギー感です。特に低域の量感が少なく、質量感としてやや軽い感じを受けました。超高域も、もう少し出ていいかなぁという印象です。Stealthでも、帯域はそこまで広くなかったと記憶していますが、その点ががさらに露出してしまっているのかもしれません。また、この点が、先ほど指摘した音色に影響を与えていそうな予感がしました。
その他、音の持つエネルギー感が感じられません。冷静さというより、力が抜けている、といったイメージです。
ただ、このあたりは駆動力をきちんと焼べると緩和しそうな気がしています。例えば、私も使っているViolectric V550 Proなどと合わせてみるといいのかな、と妄想したり。
また、音色しかり音像しかりですが、全体的に音のほぐれというか、動きが多少ぎこちない感じはあります。階調が飛んでいるというか、そもそも狭く、鈍いようなイメージです。とはいえ、こちらの点に関しては、この値段帯に要求することではないかもしれません。Stealthの順当なダウングレード版だと思えばよさそうです。
と、いろいろ書いてきましたが、全体として見ると、最初に書いたとおりStealthの順当な廉価バージョン、というところにたどり着きます。帯域が狭いため、ポップス向きにはなるかもしれませんが、Stealthの息遣いを感じつつ、かつ密閉型でこの完成度というのは、特筆すべき点だと思いました。
情報量ジャンキーの私個人としては、E3とStealthなら予算を貯めてStealthの方を選ぶかな……。