2023-02-13
前回は私が使っている Audeze 社の LCD-5 というヘッドホンを簡単にご紹介しましたが、今回は同じ Audeze 社の MM-500 という機種を試聴させていただきました。結構気になっていたので。
このヘッドホンはモニター用ということだったのですが、モニター用ヘッドホンの聴き方というものがあるとすれば、正直それを心得ていないので、申し訳ありませんが、いつも通りの聴き方で簡単にご紹介します。ミキシング以降マスタリングなどの作業であれば、この聴き方でも概ね問題ないのかな、と思っていますが、詳しい人がいたら教えてください。
環境は、フジヤエービックさんのいつもの MSB セットです。
まず一番気になるのは、マクロ視点でのダイナミクスが変に圧縮されているように感じることです。1-10 まであったとして、1-4 までは普通に出てくるのに、4 から先が 4.5, 5, 5.25, 5.5……となって 7 か 7.5 ぐらいまでしか(ちょっと言い過ぎかな……?)出てこないようなイメージです。結果として聴きやすくはなっているのですが、あまりいいことには思えません。
次に、LCD-5 と似たような症状ですが、どうも高域あたりに突っ張るようなところがあります。この世代のドライバの弱点なのでしょうか。おそらくここのせいで、たとえば木管、フルートの音がおかしいことがありました。帯域がらみで言えば、レンジも上方向下方向どちらも私が想像したほど伸びることがなく、それが原因なのか知りませんが、金属感や木管ぽさといった部分もイマイチ出てこないです。
帯域の量感としては、中低域に寄っています。ただし、上記で指摘したような突っ張る高域の部分なども目立ち、全体的な不均質感を感じます。
この三つが特に気になりました。なお、音色はやや明るめで温度感も温かめ(ちょっと自信がないです)、質感・空気感などはそこそこに出ていました。最初は低域の引きが若干もたつくようにも感じたのですが、時間と共に軽減していきました。
LCD-5 との比較として書いておきたいことは、いくつかあります。
まず、全体としての情報量の捌け具合に違いがあり、LCD-5 の一段階下かなあと言う感じです。響きの間引かれ方がわかりやすく感じました。また、このヘッドホンでは、MSB セットから想定しうる音の品位のようなものがあまり出てこないような印象を受けました。LCD-5 であれば、そこはある程度上流が出した通りに聴こえました。この辺りは、純粋に価格差なのかなと思います。
また、各楽器がやや横一直線に並んで定位するような印象を受けました。どの楽器も等しく扱おうとしているようなイメージで、本来メインとその後ろでサポートするような聞こえ方の関係になっているはずが、ややサポートが見えすぎるような嫌いがあります。時間が経って少々改善し、LCD-5 のような逆三角形が朧げに感じられましたが、イメージは継続しています。この辺りが、モニターヘッドホンなのでしょうか(イマイチよく分かってないです)。
と、こんな感じです。個人的にこの価格帯は期待値が異様に高くなってしまい、反省しているところではあるのですが、もうちょっと高いものを買えば穴の数自体が少なくなるかもしれませんし、もう少し安いものを買えば全体的な品質のバランスが取れるのではないかな、と思ってしまいます。ちょっとまだ特に下の方の値段帯を検証していないので、今度何か買って聴いてみたいと思います。そろそろ買わないと出禁ポイントが満タンになりそうですし