pontaのヘッドホンブログ

Audeze LCD-5 超雑感

2023-02-10

執筆現在、私が使っているヘッドホンは、Audeze 社の LCD-5 というヘッドホンです。このブログでも何回か名前が出ているかと思いますが、私の Twitter では、ウダウダ文句を言っている場面が結構多いかと思います。では気に入ってないのか、と言われると別にそんなことはなく、現時点でのハイエンドヘッドホンとしては、なかなかいい出来だと思っています。これよりいいヘッドホンとなると、例えば Utopia SG でしょうかね。

もう長く聴いて慣れてしまっていて、特徴を書き切れるかイマイチ自信がないのですが、このヘッドホンを使っていて普段思っていることをざっくり書いておこうかな、と考えた次第です。環境は PC トラポ(roon) + SMSL D400EX + Violectric V550 Pro で、バランス接続です。

D400EXのレビューはこちら、V550 Proのレビューはこちらです。併せてご覧ください。

一言で言えば、おかしな点が少なく、ヘッドホンとしては音の妥当性がなかなかであるヘッドホン だと思っています。帯域バランスやレンジはもちろん、音の質量感やリズム感(音の速さや押し引き)、空気感、質感、響きなども特に変というわけではなく、出ています。温度感もざっくり普通で、硬さや金属感といった項目も、すこぶる得意というわけではないですが、こなせています。また、上流への追従能力もあり、使いこなしも楽しいヘッドホンです。

問題点としては、第一に、音がつっぱるように感じる帯域がいくつかあることでしょうか。この点が一番リスニング体験を阻害するような気がしていて、やや面倒ではあります。ちなみに、関連しているのかあまり分かっていないのですが、録音(とセッティング)によっては、たまに調律ができてないような音になることがあるので(ピアノがわかりやすかったです)、調整が必要になるとも思います。

それから音色の妥当性が気になります。全体として若干暗めに偏り、自在性がそこまで高くありません。私自身少し明るめなのが好きだというのはあるのですが、それにしても硬直というか、そういう表現の幅がないイメージです。また、ややシビアな話ですが、倍音?や階調性などと言った部分が少し間引かれているようなイメージがあり、若干のザックリ感がもどかしいと感じることはあります。

私がこのヘッドホンで気に入っているのは、音場における音像の定位の仕方です。音自体はやや近めなのですが、自分の視界からなんとなく逆三角形状に、奥行きを持って各楽器が配置されているのがわかりやすく、安定しています。私のシステム上流自体がその辺りを得意としている部分もありますが、それによく追従できています。私は今まで音場や定位の関係を見るのが下手だったのですが、かなり助けられています。

また、捌ける情報量としても、惜しむらくは Utopia SG が LCD-5 のこの点を軽々超えちゃいますし、前述したようなシビアな部分の欠損はあるのですが、それでもハイエンドヘッドホンの中ではかなり優秀だと思います。情報の密度感の変化や立ち上がり・立ち下がりの情報量の感覚なども感じ取れましたし、ディテールも出ているように感じます。

あれ、結構一生懸命書いたつもりなのに、こんなにコンパクトになってしまった……。と、とにかく、今気づいているのはこんな感じです。指摘した内容を総合するとやはり欠点は少なめで、総合的によくできているのではないかと思います。私の気づいていない利点・欠点はまだあるかもしれませんし、ヘッドホンレビューが少ないので「欠点が 3 つもあるじゃないか!」と思われるかもしれませんが、そのうち適当なヘッドホンでレビューを書いてみたいですね。

こんな感じで、欠点もありつつも気に入って使っています。お金もないことですし(悲)、しばらくはこのヘッドホンにお世話になることになりそうです。また新たな発見があったら、その都度書いていこうと思います。

追記:2025/4/10

2025年4月時点でも、このヘッドホンに総合力で勝てるヘッドホンは、あまりないように感じられます。最近は、100万円を超える売値のヘッドホンも見かけるようになりましたが、きちんと聴いてみると、LCD-5の情報量追従性、全体的な品位をベースとした完成度がひしひしと感じられます。個人的には、そろそろこのレベルは軽々超えてくるような機種が登場してくれることを祈っているのですが、市場を見る限り、もう少し時間がかかるようですね。

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