2023-04-03
現世代ではないヘッドホンを聴こうキャンペーン、第 3 弾となりました。今回は、ちょうど出物があった Edition9 をいつものフジヤさんで視聴させていただきました。めずらしいものですし、同社の Signature Pro や DJ は過去持っていたこともあったので、結構ワクワクして聴きに行きました。
同社に関わらず、所持したことがある機種に関しては、こちらの記事をご覧いただくか、「購入」のタグを追っていただければと思います。
実際に MSB ワクワクセットで聴いてみると、なかなかに楽しいヘッドホンだということがわかりました。さすが当時値段が高かっただけある、と思いました。
先に簡単に大まかな欠点だけ述べておくと、まず、高域に金属の感じが少し乗ってしまいます。弦楽器などでそこが気になったりします。ですが、暖機運転が終わって情報量が増えていくにつれて、聴いてられないほどにはなくなってきます。また、低域のある帯域だけちょっと盛り上がるような、回り込むような、変な癖があります。ここは後々までちょっと邪魔にはなってきます。このあたりは、密閉型かなあ、と思ったりもします。
さらに、音場が狭いにも関わらず音像が大きく収束感が乏しいため、距離が近くて音像が被ってしまいます。そのため、空間として整列感に欠き、俯瞰するように聴こうとすると、聞きどころを掴みかねて、混乱してしまいました。
以上、大きな欠点としてはその辺りがあり、その他細々したことはあるとは思うのですが、このヘッドホンはそれで転んでもタダでは起きません。むしろそちらこそが本質的かな、というふうに感じています。
このヘッドホンを特徴づける長所は、まずその音の鮮度にあると思いました。聴きはじめはそこまででもなかったのですが、時間が経つにつれてどんどん良くなり、若干の明るさはあるかなとは思えど、どの音楽を聴いてもかなり発色が良く自在で、生き生きとしています。ここまで発色の良い音を出せるヘッドホンは、もしかしたらまだ聴いたことがないかもしれません。
そして何より、音像内の見え方が他のヘッドホンから一線を画しています。こと俯瞰した聴き方だと混乱の元になっていた音像の大きさですが、この大きい音像の中に情報量がしっかり入っており、非常に細かいところまでよく見やすいです。MSB があったまってくるとこの傾向が非常にわかりやすくグイグイくるので、かなり充実感が味わえて楽しいです。
たしかに、本来であれば、ある程度の大きさの音像が整然と並んできちんと情報量を捌けるのが理想ではあるとは思います。しかし、このヘッドホンの特長は真っ当な性能評価の延長線上にあるというか、一つの個性として受け入れられてもいいかな、と思いました。音像内の見やすさでいったら、もしかしたら Utopia SG よりも見やすいかもしれません。
先に挙げた欠点は避けては通れないので、総合的に見て最前線と張り合えるかどうかは、また難しいところがあるとは思います。しかしながら、上記のような特長はたしかに存在し、興味深いヘッドホンに仕上がっていると思います。このヘッドホンは聴けて良かったです。
現世代ではないヘッドホンを聴こうキャンペーン、ここにきて明確な当たりを引けたかな、と思っています。お金の都合が許せば正直欲しかったのですが、あいにく今は色々と立て込んでいて予算がなく、泣く泣く見送ることになりそうです。その場で、「これください!」って言いたかったなあ……