pontaのヘッドホンブログ

6月のあれこれ試聴

2023-07-05

月一回くらいは更新したいなあと思っていたこのブログですが、先月は色々と忙しく、腰を据えてブログを書く余裕がありませんでした……。ですが、オーディオはちまちまと聴いていて、色々勉強になったことがありました。ということで、ここで簡単に供養したいと思います。

まず、ヘッドホンについてですが、相変わらずローエンド〜ハイミドルクラスまでの探究を続けています。その中で、ネットを見る中で評判がよさそうだった Fostex TH909 と、同じ Fostex の T60RP を聴いてみました。前者は MSB ワクワクセットで、後者は Shanling EM5 というプレーヤーでの試聴です。

Shanling というと中華メーカーですが、機会があって H7 というポタアンを聴いた時、ポータブル機器の中では割とよくできていました。そこで、e イヤホンでの(ローエンドクラスヘッドホンでの)試聴の際に EM5 を使ってみたのですが、各ヘッドホンの特徴はざっくり掴めそうだったので、ひとまずこれで固定して比較することにしています。

両者は値段帯が違うので直接比較するのはフェアではないのですが、同じメーカーだからか、なんとなく音の共通点のようなものを感じます。一番感じたのは、やや高域に意識が向きがちで腰高?な帯域バランスにシャリシャリ感があり、やや神経質なことです。これが Fostex の音作りなのかな、と思ったりしました。

TH909 はここにある程度の情報量がプラスされるのですが、それでも値段なりの捌き具合といった感じで、当時のメモにはマイクロダイナミクスの出てこなさが書かれてました。T60RP に関しては、捌きが弱い代わりに、質感などをある程度均すことで違和感少なく聴かせていて、うまく補えないよりは好印象でした。ただし、もともとの器はそこまで大きくなさそうでした。

T60RP はよく低価格帯でのおすすめに上がってきて、HD650 などと比較されることが多いようです。音色や帯域バランスは HD650 がニュートラル感覚に非常に優れており、情報量の器、補い方(どんな機材でも HD650 の音になると言われるくらいのイメージです)ともに T60RP より格上のように感じます。ただし、情報量の補い方が T60RP の方がマッチする人(や機材)、というのも、もしかしたらあるかもと思いました。

次に、スピーカーです。ヘッドホンの環境を良くするためにも、スピーカーを聴きに行くことはとても意義があると思っていて、機会があればいろいろと聴いて勉強することにしています。

6 月は OTOTEN と呼ばれる大きなイベントがあり、そこに出向いて色々と聴いてきました。また、田端にある SIS(エスアイエスと呼ぶそうです)という高級オーディオショップに期間限定展示された MSB の上流最上級コンビ、Select Digital Director と Select DAC を聴いてきました。特に後者は超弩級の経験ができ、感激でした。(誘っていただいた k さん、ありがとうございます。)

OTOTEN では、色々なブースを少しずつ聴くような感じで、特に LUMIN ブースで使われていた、Dynaudio Confidence 30 というスピーカーが気になりました。帯域バランスや音色(若干暗いかも)などにあまり違和感を感じず、ブースの機材ですでに質感などマイクロダイナミクスがそこそこに出ていて、情報量の器がありそうなイメージでした。

値段も 360 万と血反吐を吐けば何とかできそうな金額で、そこそこに好印象でした。我が家は残念ながらスピーカーを置く場所がなくスピーカーオーディオはできないのですが、将来的にこういうのを揃えてみたいな、と思えるスピーカーでした。機会があればもっと詳しく聴いてみたいです。

SIS では、トランスポートからスピーカーまで一流のものを使い、Select DD のあるなしを聴き比べることができました。構成は(ちょっと忘れてしまったのですが、)Taiko SGM Extreme → MSB Select DD → MSB Select DAC → Pilium Alexander → Pilium Hercules → YG Sonja 2.2i だったと思います。Pilium はいくつかモードがあるらしいのですが、標準モードです。

Select DAC の時点で既に卓越した基礎性能の高さをベースにした音楽を鳴らしていましたが、Select DD が加わることによって、本当に全方向で良くなるようなイメージがありました。情報量がぐっと増えるのは勿論、音の立ち上がりは立ち上がりという概念を感じないような既にそこにあったかのごとく鳴りますし、音色も若干暗めながらもそれを補って余りある自在性があり、倍音の出方も非常に向上したり、定位感、などなど……

Select シリーズの音楽性として、フラットとかニュートラルというよりは音がやや濃いですが、多くの音楽で良い方向、少なくとも邪魔にならないかな、と思いました。この音楽性と DD のさらに磨きがかかった基礎性能によって、古いクラシックから、エレクトロやアニソンなどもびっくりするぐらいよく鳴っていました。DD は音源の良し悪しに対しては懐が深いのではないのか、と一緒に行った方とお話ししていました。

私が鳴らした中では、特に sanodg の Sidechained Threats は定位の良さによる音の散らばりが面白いのは勿論、シンセの音が品位とチープ感を絶妙に両立しており、IDOLiSH7 の NAGISA Night Temperature (Opus 版)もノイズ感?の低減や定位、ボーカルの情報量など特によく鳴っていて、感激でした。勿論合わない曲もあって、Scoobie Do の勝手にしやがれはエモさは残るものの勢いやノイズ感がやや減退し、fhana の愛のシュプリーム!は全体的に軽いリズム感などが削がれるイメージでした。とはいえ、致命的に楽曲を毀損するものではありません。

Reference だとそこなへんがもっとニュートラルに近づくと聞いたので、機会があったらぜひ比較してみたいですね。

と、忙しいなんて言いながら、書いてみると実は色々やっていた 6 月でした。夏は、家でヘッドホンを聴くにはどうしても冷房を切る必要があり、暑くてモチベーションが下がってしまいます。なので、こういうふうに外に出て色々勉強してみるのもありかも。

とりあえずこのブログも一月に一回ぐらいのペースは保って、地道に続けていきたいですね。というか、このブログ、開設一周年だそうです。皆様日頃からご贔屓にしていただき、ありがとうございます。こんな感じで皆様が何か気づきを得られるよう、のんびり頑張っていきますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。