2023-11-12
前回の更新から大分あいてしまいました。仕事が忙しかったり、モチベが出てこずヘッドホン自体一時期パッタリやめていたりなどありましたが、その中で、Austrian AudioのHi-X65はそこそこ良かったので、記録を残しておこうと思います。復帰したてなので耳が大幅に鈍っているかもしれませんが、そのうち改善すると思うのでご容赦ください。
現時点でのこなれ具合で総合的に見ると、6万円前後のヘッドホンとしてはかなりいい線をいっていると思いました。大まかなイメージとしては、音楽的にうまく補うというよりは、実直な表現が特徴だと思っています。例えば音色はじめ、基本的にはニュートラル基調です。
欠点からお話しますと、一番大きなところは音像にまつわる部分です。例えば、開放型というのは音抜けが良いことが特長の一つですが、この機種に関してはやや抜けすぎるような感じがします。そのためか音像がやや発散気味で、安定して立つといったような感じになりません。また、エージング中の話ですが、音像が少し透けてその先が見えてしまうような感覚もありました。
また、その発散している部分が響きや本当の音像周りの細かな情報と混ざるのか、やや曖昧になるようなイメージです。そういうところに意識が行きがちになるせいもあるのか、厚みとしてもやや乏しい気がしています。その他、低域の量感がやや乏しく、音の重さも少々軽めといった点もあります。
これらの欠点がありつつも、私はこの機種を結構気に入っています。そのポイントはいくつかあるのですが、基本的なところで、情報量や全体的な描写の出方のような部分は特によいと思っています。現代的な性能のドライバを積んでいるのか、情報量としてはこの価格としては十分追従できるように感じており、例えばHD650より器は大きいと思っています。ただし、あちらはドライバの設計が古いのか情報量としてはそこまでですが、それを補うのが非常に上手です。
また、ハイエンドヘッドホンで低品質な録音を聴いたときのような録音の悪さはあまり感じないので、やはりどこか全体的な情報の間引きはあり(空気感とかは音像の発散もあってややわかりにくい)、特に微細方向の情報はある一定より下は割とバッサリ切っている感じがあります。しかし、音色や音像濃度に関する階調の飛びは、補うというよりうまく間引いていて感じにくいといった印象です。倍音も安定して出ており、弦楽器の弦の感じなどに通ずるところも、うっすら出ています。
その他、音場が前の方に定位するような努力を感じるなどありますが、あまり印象には残らなかったので割愛します。
なお、これは長所というか特徴ですが、高域を中心にノイズと感じ取りやすい帯域にやや敏感に感じます。これはPCトラポのチューニングの際に思ったのですが、プロセスカットを進めていくに連れて、ジャリついたうるさい感じがどんどんなくなり、音色や音像の収束感も良くなっていきました。こういうノイズ?は多方面に影響してくると思うので、もう少し詳しく聴いてみる必要はあるかな、と思っています。
実はこれ以外にも安めのヘッドホンを何本か買って試しては売り、というのを何回か繰り返していたのですが、このヘッドホンに関してはしばらく我が家で活躍してくれそうです。
そういえばAustrian Audioは近いうちにハイエンドヘッドホンを出すそうですね。個人的にもう少し音像やその周りに気を配ってもらって、また、音の品位を表現できるようにブラッシュアップしてくれれば、なかなかいい線行くんじゃないかなあ、と密かに期待しています。